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ミズ・ディー・ディキンソン

学ぶための学習


 この25年間に判明したヒトの脳について事実は人間の歴史始まって以来、最大となった。現在では、PET、CATスキャンや機能的MRIなどの新技術を通じて、思考過程にあるヒトの脳について観察したり、学ぶことができるようになった。マリアン・ダイアモンドなどの神経科学者の研究により、学習と経験の結果、脳が生理学的に−−よくも悪くも−−変化し、この柔軟性は生涯続くことがわかった。よい精神的素養の開発にもっとも役立つ環境があると思われる。それらは肯定的、教育的、刺激的で、行動と相互作用を促すものである。多くの効果を上げている学校や研修プログラムがそのような挑戦的だが脅威の少ない環境を創り出した。

 さらに知性とは静的構造ではなくて、開放的でダイナミックなシステムであり、生涯発展を続けることができるのも明らかである。この理解を学校だけでなく職場でも利用して、研修プログラム参加によって成人でも知性の発達が可能なことが示されている。モトローラのような企業は、従業員、マネージャー、重役のための訓練プログラムで、ルーベン・フールスタイン、J.P.ギルフォード、エドワード・ドボノなどの教育改革者が開発した戦略を用いて、効率よく考え、問題を解決し、創造することを教えている。

 さらに最近の進展は、人々がインターネットを通じて情報にアクセスし、これを処理し、世界中の専門家とコミュニケーションを持ち、より高度の思考と問題解決を可能にするソフトウエアを利用するにあたって、自分自身の学習に責任を持つことをできるようにした新しいタイプのテクノロジーである。コンピュータは決して教師に代わるものではなく、物事をしやすくさせ、指導者、案内人となるための新しいツールである。その結果、教師も生徒も新しい知識を生み出し、基礎をマスターするための共同作業をする機会がふえる。 技術の普及につれ、カリキュラムに人間味を与える上での技の重要さが一層認識されている。『さらにハイテク、さらにハイタッチ』が多くの学校の決まり文句となりつつある。技は文化として重要で、文明として影響を与えるばかりではなく、ほぼすべての課目の学習を容易にする。

 脳が柔軟であること、知性の改善が可能なこと、技術を学習の新しい強力なツールとして利用できること、教育における技の復興という四つの概念が、教育制度と世界の将来一般に大きな影響をあたえると信じる。この急激な変化の時代において、先頭を行く教育制度は、人々に学び、学び直し、更に学ぶ能力をあたえ続けている。これらは学生には学んだことを適用して、情報を知識に変える意味ある機会をあたえている。そして健康な未来を手に入れるため最も重要なことだが、学生が責任をもって、倫理に適った、尊厳あるやり方で知識の利用を学ぶのを助けている。さらに学生が教育をうける過程において思いやりと利他主義をもつような経験をさせている。我々の複雑な世界は、その心、身体、精神が十分に成熟した人々を緊急に必要としている。


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