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松田総平(まつだ そうへい)

豊中文化幼稚園 主事

E-mail:sohey@kids.ed.jp

URL:http://toyonakabunka.kids.ed.jp/




平成のデジタル・キッズ

 小さな子どもたちが、幼稚園でコンピュータを使って遊んでいると聞いて、みなさんはどう思うでしょう?
 「なぜ幼児が、コンピュータをしなければならないの?」「小さな子どもにコンピュータなんて、早すぎるわ!」「幼稚園では歌とお遊戯、泥遊びをしていればいいのよ!」こんな声が聞こえてきそうです。人工物の代表のようなコンピュータ。ヘタをすると人間を奴隷にするコンピュータ。こんなモノを幼稚園の遊び道具にするなんて、いったいどういうことでしょう。
 このように考えている人は、実際にコンピュータを触ったことも無く、自分の思い込みだけで反対している『感情的反対派』のことが多いようです。コンピュータ=難しそうなキーがいっぱいついた四角いテレビのような機械と思い込んでいるのではないでしょうか。コンピュータが日ごろ使っている冷蔵庫や洗濯機、掃除機やテレビなど、電化製品のほとんどに入っいるとは思ってもみないのでしょう。毎日コンピュータを使って生活をしているのに、四角いコンピュータだけは毛嫌いをする。どうしてなんでしょう?
 これに対して、「社会や学校にこれだけのコンピュータが入ってきている。だから、幼児の時期からもコンピュータに慣れ親しまなくてはならない!」という『積極的賛成派』の考えの人もいます。しかし、どいうわけかこの派には、コンピュータのイメージや使い方をあれこれ教えたがる人が多いようです。子どもは、大人が教えないと何も分からないとでも思っているのでしょう。この点は『感情的反対派』と同じステージで、コンピュータ=特別なモノという意識があるようです。
 コンピュータを自由に操る平成のデジタル・キッズが大人になる時、どんな未来が開けているかは誰にも分かりません。そんな子どもたちに、コンピュータのイメージや使い方を狭い価値観と乏しい経験しか持たない大人が、一方的に教え込んでいいのでしょうか。
 同じ賛成派でも「コンピュータが人間の生活に入ってきてたかだか十数年、いいかどうかなんて分かるわけがない。だったら一度使ってみよう!」「悪ければやめればいいし、良ければ続ければいいんじゃない。」このような一見軽率な『懐疑的賛成派』の考えもあります。幼稚園のコンピュータは、子どもにとってフレーベル遊具や映画『2001年宇宙の旅』で人類を導くモノリスのような役割をしてくれればと思います。コンピュータに触発され、子どもたちがそれぞれの探索と表現を楽しみ、みんなと情報を交換する。大人はそれを慈父母のごとくニコニコと見守っていればいいんじゃないでしょうか。
 2歳でマックと戯れ、幼稚園でコンピュータ・グラフィックを描き、小学生になればインターネットで世界中の友人と電子メールを交換する。平成生まれの子どもたちにとっては、自分の周りにコンピュータがあるのが当たり前です。最近やっとコンピュータを触り始めた世代と、生まれた時から使っている世代とでは、コンピュータとの付き合い方に差が出るのは当然です。
 今回の発表では、これまでに行ってきた幼稚園での実践研究を『懐疑的賛成派』の立場で、以下の内容を中心に報告したいと思います。

 *デジタル・カメ(タートル グラフィックス)と子ども。
 *デジタル・お絵かきと子ども。
 *インタラクティブ図鑑と子ども。
 *幼稚園とインターネット。
 *母親のネットワーク。
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