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竹村真一(たけむら・しんいち)

東北芸術工科大学助教授



インターネット時代の地球認識と新たな科学教育の可能性


 “地球大の神経系”としてのインターネットやマルチメディアの技術は、私たちの世界経験のありかたを根本的に変革し、従来の科学教育や環境教育にまったく新しいアプローチをもたらす可能性を秘めている。
 それは単に活字中心の教科書が五感にいきいきと訴える動的なものに変わり、世界の博物館や美術館の情報がデジタル化/共有化される、といったレベルにとどまるものではない。
 たとえば世界中で日々起こっている地震活動の様子を直接インターネットを通じて、誰もが生きた形でグローバルに視ることができるようになったとしたら、子供たちの地球観やその科学的理解への関心はどれだけ深まることだろうか?
 あるいは自分や他人が世界中のホームページをネットサーフィンしてゆく、そのインターネット上の「移動」のプロセスを、世界地図上でリアルタイムにモニターするような仕組みがあったとしたら、子供たちもグローバルな情報網としてのインターネットの存在にもっとリアリティーを感じることが出来るはずだ。

 私たちが制作したウェブサイト"Sensorium"(http://www.sensorium.org) は、このようなインターネット時代ならではの生きた経験のデザインを模索してきた。
 それはまた、既存の知識やデータをただデジタル化して並べるのではない、「いま」を深く経験/共有してゆくための新たな「場」としての電子博物館(デジタル・ミュージアム)の実験でもり、ネットワーク上でしか出来ない科学教育・環境教育ツールの創出の試みでもあった。
 こうしたインターネットを活用した作品例や、NTTと共同で行なった子ども対象のワークショップでのインターネットの体感的理解をうながす試み(たとえば糸電話で擬似的にインターネット構造を創出してみる実験など)を具体的に紹介しながら、今後のインターネット/マルチメディアの教育的活用の可能性について提言してみたい。

 特にポイントとなるのは、以下の3点である−−。

1) インターネット時代の世界経験の本質、「知性」と「感性」の統合可能性
2) メディアの脱ブラックボックス化(〜「結果」だけでなく「プロセス」の理解)
3) 「リアル」と「サイバー」の架橋/統合
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