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6月
6月

〜絵本の楽しさを共有する時間とは?(1/4)〜

<今月の本>
ヨーレン作 『月夜のみみずく』、アーノルド・ローベル作 『ふくろうくん』、『ぼくのおじさん』




◆わが子なのに同じように愛せないという苦しみ◆

 杉並で家庭文庫を開いているAさんから、こんな話を聞きました。
 文庫にきた若いお母さんが、
「同じ自分の子どもなのに、ふたりのうちのひとりを、どうしても好きになれません。わが子を平等に愛すことができないのです」
 そういう自分に嫌気がさしてしまうのだそうです。

 自分の子どもでも、長男や末っ子を特に可愛がってしまう、というのは、よく聞くことです。親子といえども相性もありますし、無意識のうちに、そうなっていたという場合も多いようです。

 昔から、「鬼っこ」などということばがあることをみても、今に始まる問題ではないようです。
 ですから、同じ自分の子どもを同じように愛せない、というのは、実はそうまれなことではないかもしれません。

◆最悪の場合は避けたいが、何ができるか?◆

 しかし、その気持ちがおさえきれず、現実に行為として当の子ども自身に向けられてしまうと、最悪の場合には、それが虐待という悲しい事態にまで陥ってしまうケースもないとはいえないでしょう。そうなると〔よくあること〕ではすまされません。
 まして、分け隔てされた子どもの身になってみれば、それがどんなに残酷なことかわかります。

 このお母さんは、ご自分の心理について、きちんと認識しています。しかも、ふつうは気づかない、あるいは気づかぬふりをしてしまうのに、そのことで悩んでおられるわけです。見過ごしてしまえば、悩むこともないのですから、きっと、誠実で、自分に厳しい目を向けられる、女性なのではないでしょうか。

 そうはいっても、悩みは悩みで、苦しんでおられるのです。何よりも、当の子どもは敏感に感じ取っているはずです。やはり、傷ついているに違いありません。
 Aさんは、このお母さんに、どう対応したのでしょう?


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