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8月
8月

〜わが子に願いを持たないなんて!(1/5)〜

<今月の本>ミヒャエル・エンデ作 『オフェリアと影の一座』



◆母親はコントロール・タワーか?◆

 私は鬼のように怖いお母さんで、夫は子どもたちにとってお兄さんのような、良き理解者。ことに父と息子はいっしょにサイクリング(といっても、父はママチャリで、息子は子ども用の自転車で)に行ったり道に迷ったり、家では木ぎれで飛行機やミニチュアの家を作ったりする、いい仲間でもあったのです。

 私は子どもたちが寝る前に「歯磨きは?」、登校前に「忘れ物は?」、学校から帰れば「宿題は?」と、心ならずも連発する毎日で、うんざりしたらしい夫は、
 「きみ、このごろ、コントロールタワーだよ」
 というのです。ぎょっとしている私に
 「僕なんて、歯磨きなんてめったにしなかったけど、虫歯もないし、忘れ物すれば取りに帰ればいいのさ。ひどいめに合い、しまったと思えば、気をつけるようになるさ」
 というのです。

 いつもは、夫の言うことには、ことごとく「でも」とか「だって」とか言って反論する私ですが(結婚以来いまだに!)、なぜかこの時は、ひどく納得してしまったのです。
 「学校に入る前は母親の言うことをきき、学校時代は先生の言うことをきき、就職すれば上司の言うことをきき、それで一生が終わる。いったい、どういう人生なんだ?」
 と、なおも夫はひとり言のように、ぶつぶつ言っていました。


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