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11月
11月

〜子どもを見つめる眼差し(1/6)〜

<今月の本>エーリヒ・ケストナー作 『小さな男の子の旅』



◆死に急ぐ子らへの思いから◆

 30年ほど前、私が児童文学を書き始めたころ、10歳前後の子どもたちが、次々と自らいのちを絶つという現象が起こりました。
 理由も状況もさまざまだったとは思います。しかし、いずれにせよ、まさに輝く未来を前にした若いいのちを、おのれの手によって、抹殺してしまうという現実に、少なからず私は戸惑いました。

 子どもの文学に関わろうとしている者として、たとえ、そういうことを作品にするのではないにせよ、これはどういうことだろうかと考えずにはおれませんでした。
 私は生まれてはじめて、「教育」とはなにか、「家族」や「家庭」というもののもつ意味について考えざるを得ませんでした。つまり、避けては通れないと直感したのです。
 いったい、いまの子どもたちはどのような子ども時代を過ごしているのか。昔と変わったものがあるとしたら、それは何がどう変わったのか?

 そこで私は少しずつ、事件の新聞報道やそれに伴う教育者、精神科医、小児科医、心理学者、作家、などのコメントや関連記事、雑誌等の特集記事等をスクラップしながら、出来る範囲で、私なりに追ってみることにしました。
 改めて、教育学、教育論、哲学、心理学などの本も読みあさりました。もちろん、そんなことで、何かが掴めたり、見えてきたりするという単純な問題ではないと思っていました。でも、何かしないではいられなかったのです。


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