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11月
11月

〜子どもを見つめる眼差し(2/6)〜

<今月の本>エーリヒ・ケストナー作 『小さな男の子の旅』



 そんな中で、特に作家の高史明、岡百合子さんご夫妻にお目にかかれたことは、私にとって大変大きなことでした。ご夫妻は、ご子息を自死という形で失い、その悲しみの中で、自らを振り返り、ご子息への愛のためにも、その死を無駄にしないことを、前に進む道を必死で求められておいででした。ご子息の遺稿から『ぼくは12歳』というクリスタルのような詩集を編まれたのもそのためでした。
 この小さな一冊は、多くの十代の少年少女たちに読みつがれて、またご夫妻のもとへたくさんの手紙や、中には訪ねてくる者たちもいて、大変な反響でした。

 高史明著『生きることの意味』は、作家自身の少年時代を振り返りながら、生きることのほんとうの意味とは何かを探る、自伝的エッセイとでもいえる作品ですが、私は、この2冊の本を背中合わせのように感じながら読みました。白状しますと、あふれてくる涙に困り、かたわらに、ティッシュ・ペーパーの箱をおいて読みふけったのを覚えています。
 その後、ご夫妻は、寄せられた多くの十代の読者からのお手紙を書簡集として出版もされました。

◆子どもは社会で、みんなで育てる◆

 そんな折に、たまたまある出版社から、ある雑誌の教育特集を担当して書かないかという依頼がありました。以前の私でしたら、お断りしていたと思います。でも、何かのお役にたてれば、という気持ちから、お引受けしたのです。そして、その3年あまりの連載の中から、『野に遊んだ子らへ』という本が生まれました。現代に活躍する、33人の方たちの子ども時代の聞き書き集です。
 いま、すばらしいお仕事をされている方たちは、いったいどのような子ども時代をすごされたのであろうか?それは素朴な疑問でした。


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