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1月
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〜新しい「隣人」の大切さ(1/6)〜

<今月の本>宮沢賢治作 『セロひきのゴーシュ』



◆雪の朝の意外な発見◆

 21世紀に入って、東京でも、この冬に2度も大雪が降りました。
 ちょうど七草の日と、大寒の日で、家々の屋根も路地も木々の梢も、見る間に雪に覆われ、夜に入ると、一面の銀世界となりました。
 一夜開けると、朝日が白い世界をうっすらと紅色に染めながら上り、やがてすべてが輝きはじめました。一羽の白鷺がゆうゆうと梢の前を低く飛んでいきました。おそらく、この雪で、近くの浅川の中州から餌を求めてやってきたのでしょう。

 隣りの空き地では、さっそく子どもたちが出てきて、甲高い声を響かせながら、どうやら、鎌倉を作りはじめたようです。かつて、わが家の子どもたちも雪が降ると、犬といっしょに駆け回っていました。遊び半分で、雪掻きも楽しくやったものです。

 見とれていた私も、はっと気がついて表に出、雪掻きを始めました。なにしろ、坂道の多いわが家の近辺では、さっさとやっておかないと、車に踏み固められた雪道が夜にはアイスバーンとなってしまい、危険極まりない状態になるのです。
 近所の家々からも、それぞれスコップや雪掻き用のシャベルを手に、隣人たちが出てきました。

 普段はことばを交わすことも少ないのですが、雪のおかげで、気持ちもはずむせいか、なごやかな会話がちらほらとはじまります。留守宅やお年寄りだけの家の前は、だれかしらず自ずとやってあげたり、お互い、あまり張り切って足腰を痛めぬようにと、気づかったりしていました。
 無愛想で、気難しそうだと思っていた近所のご主人が、以外に気さくな人だったことも発見しました。


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