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1月
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〜新しい「隣人」の大切さ(2/6)〜

<今月の本>宮沢賢治作 『セロひきのゴーシュ』



◆新しい時代に新しい隣人を◆

 昨年暮れに世田谷で起きたいたましい事件の報道に、心が重くなる新年でした。いまだ犯人も分からず、幼いきょうだいまでも命を踏みにじられたことなど、どうしても理解できないまま、途方にくれるというのが多くの人たちの実感でしょう。
 たまたま、区画整理か道路計画かで立ち退きが決まっていて、近隣に人家が少なくなっていたことも、悲運だったことの一つといえるのかもしれません。

 ともあれ、都市では、ますます近所の関係が希薄になります。見知らぬ人が通りかかっても、それが住民ではないことにも気づきません。もともと、ご近所の方でさえ、見知らぬ顔の場合が多いのです。
 都心のある地区では、なんとか居住人口を増やすためにも、住民の交流を図り、「向こう三軒両隣り」のような関係を取り戻そうとする、様々な町起こしの活動が市民の手で活発に行われています。

6年前の阪神淡路大震災のときも、隣人同士によって助け出された人が多かったと聞きました。高校生の兄弟が子どものころ遊んでもらった近所のおばあさんを、必死で助け出したというエピソードには胸が熱くなりました。多くのボランティアの若者たちが、全国から神戸に駆けつけた事実とともに、「子どもたち、若者たちは、少しも狂っていない」ということを、かみしめた一件でした。

 もしかしたら、子育ても、近所に気軽に相談できたり、万一のとき、気安く頼める隣人がいたら、もっと、心強いのではないでしょうか。
 かつての、暗いある時代のように、「隣組」なるもののごとく、お上からの通達を伝達したり、互いを監視するためのものなどはまっぴらですが、新しい時代には新しい隣人の関係が必要ではないかと、ふと思いました。


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