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講評
小林 登(チャイルド・リサーチ・ネット所長、小児科医)

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 子どもを一人の人間として広く育てるという場合には、この徳育・知育・体育・食育の4つをまとめて、教育という考え方には、日本では100年以上前からございました。おそらく、中国から来たのではないかと思います。

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 しかし、食育というのは、教育と考えられてきて、教育の中への位置づけは高かったと思います。ですから、食育が学校の中にも入ってまいりました。それは逆に言いますと、日本でいかに子どもたちの食事が乱れているかということを示しているわけです。学校教育の前の乳幼児にとっても食育は重要であるというのはいろいろな報告でもありますが、今回の報告は内容もわかりやすくいい報告だったと思います。

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 このポインターに出ています図を調べてみますと、体重の軽い子どもは9人、2%、軽体重といいますが、標準体重児童は92%、353人、肥満児童は6%の22人でありました。この子どもたちが6歳になったときにまた調べてみますと、体重の軽かった子どもは46人、つまり増えているわけですね。それから、標準体重の児童は307人と減って、肥満の児童も31人と9人増加しています。

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 3歳のときの肥満の6%が8%、つまり2%増えたわけですが、その子どもたちがどこから来たのかということを調べてみますと、3歳のときに体重の軽かった9人の中から肥満になった子はおりません。標準体重児の253人の中から19人、すなわち5%が肥満児に、それから肥満の子どもの6%、12人が肥満児になったわけです。ということは、55%が肥満児になったのです。これは非常に重要なことで、肥満の子は肥満になり続けて、なかなか直らないでいて、3歳から6歳までの家庭生活や学校生活の影響で標準体重の子どもも肥満児童になるというわけです。

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 したがって、3歳までの食育が非常に重要、健康にとって重要だということがわかります。それは親に対する食育、それは社会教育も私は入ると思いますが、それから保育園や幼稚園の保育士や先生方への食育、先生方に食育の正しさを教える必要があると思います。ですから、3歳までにどうして食育をしなければならないかということを考えてみます。

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 これは赤ちゃんのときの食生活が重要なのでありまして、正しいやり方でできるだけ母乳で育てる、それから離乳食に移行するということ、そういう正しい栄養の取り方を教えるということがひとつです。それから、その次には、正しい食事の取り方のリズムを作る。それは、離乳から始まって、9ヶ月、10ヶ月の間が非常に重要だろうと私は思います。三番目は、睡眠覚醒のリズム、これは体内時計と関係しているわけですが、それと朝昼晩の日照リズムに同調させる、つまりあまり夜更かしはさせないようにする。そして、四番目、保育園や幼稚園での食事をとるときに幼児にいろいろ教えるということではないかと思います。

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 以上のことから、私は、一番重要なことは乳幼児の食育による肥満の予防であると考えます。その予防は思春期を超えて、成人のメタボリック・シンドローム、これは肥満と血糖や血圧が上がり始めるという症状を言うわけですが、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの成人の生活習慣病予防につながるということが大きいと思います。また最後に付け加えると、ADHDつまり行動問題と肥満が直接・間接的に影響しあっているということも重要だと思います。ご静聴ありがとうございました。

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