題 名 | : 藤田英典(パネルディスカッションパネラー)さんより |
投稿者 | : シンポジウム事務局より |
日 付 | : 1997年 02月23日(日) 17:26:51 |
ポケベル,携帯電話,プリクラという,新しいコミュニケーション・ メディアが広がっていますが,これらのメディアに共通する「新しさ」 は,プライバシーやプライベートな関係に新しい次元を持ち込んでいる 点にあります。ポケベルも携帯電話も,個人が持ち運ぶ点に特徴があり ますが,そのため,交渉相手との関係は従来の電話以上に私秘性を帯び た個人的関係を前提にし,かつ,そのに私秘的空間をつくりだします。 しかし,ポケベルは限られた記号メッセージしか伝えませんから,その 関係のありようにも限定されることになります。携帯電話は,交信内容 を親や同僚や友人に聞かれないようにしますが,もう一方で,プリクラ は,それを蓄え持ち歩くことで,私秘的友人関係の輪を拡大します。手 紙や電話や対面行動をする場合とは違って,時間や手間をかける必要が ありませんし,共通の話題や関心がなくとも,関係を維持することが可 能な上に,相手に合わせる必要もありません。しかも,自分の想いのな かに<友だち>を積み上げていくことができます。 マクルーハンは「メディアはメッセージである」と言いましたが,「 メディアはメッセージであり,メッセージはメディアである」とも言え るでしょう。メディアはメッセージを伝えるための単なる手段ではなく て,メディア自体がさまざまなメッセージを伝え,さらには人間の知覚 や思考や想いの展開,人間関係の展開を左右するメディア(媒体)でも あります。ポケベルやプリクラというメディアが媒介するメッセージが ,人間の思考や人間関係の展開にどのような影響を及ぼすか,大変興味 深い重大な問題です。