男性2: |
働く母親を支援するチャイルドケアといいますが、インファントケアを考えてもらいたいと思います。フリードマン先生のお話を聞いて、いわゆる母子相互作用と愛着形成という点について、私は小児科医として愛着形成には感受期があると思っています。また、アメリカ小児科学会は、満一歳までは母乳で保育しなさいという新しいリコメンデーション出しまして、ある会議のとき、母乳で育児しているお母さんがこれから働くんだけれども何歳から保育園に行ったらいいですかという質問が出て、私は大変ドキッとしました。
そこで、今井先生に何歳くらいから保育園に行くのがベストなのかを小児科医として教えていただきたい。内田先生、フリードマン先生にも最適齢期を教えていただきたいと思います。
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今井先生: |
お母さんは働きたいと思っているわけですね。それで子どもが何歳ぐらいになったらいいのだろうかという質問ですね。
私自身は、もしお母さんが今じっくり家庭にいられる状態であれば、2歳ぐらいまでは家にいてもよいのではと思います。2歳児は、パニック状態になったり、保育をしていても大変な、非常にワカランチになる時期です。その2歳の難しい時期を親だけで見てしまうと、押さえつけてしまったり、子どものいうなりになってしまう傾向が多いんです。しかし、感情を爆発させたりするようなことは、この時期にはとても大切だと保育所保育指針の2歳のところの保育士の姿勢と関わりの視点というところにもあります。このワカランチになって大泣きしたり、激しい感情を表出することが自我の育ちのプロセスなんです。そのところを母親たちとぜひ一緒にやっていきたいと思います。母親たちにとっても二歳のところが一番悩みが深刻です。
2歳というのは、家庭の中の親子関係だけではなく、友だちやほかの事にも大変関心をもつようになってくると思います。昔は3歳くらいからと言われていましたけれども。家庭にいる2歳児が一番テレビを見ている時間も多いというデータもあります。2歳児が友達を求める気持ち、関わりたいという姿を見ていると、私は2歳ぐらいから保育園に入れたらいいのではないかと思います。
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内田先生: |
今井先生もおっしゃられたように、子どもの側の育ちという点から、友だちを作る機会を得られれば、必ずしも保育園でなくてもいいんですが、公園などが近くにあって一緒に遊べる環境が保証されていれば、家庭でももちろん可能だと思います。ただ、多くのお母さんのご心配は反抗期になったときにどうしたらいいかわからないということで、ただ押さえつけてしまうこと以外にやりようがなく困っていらっしゃるように思います。そういうことを考えてみると、近くに親戚や頼れるおばあちゃんがいないのであれば、2歳くらいの自我が芽生える頃から、共に育てることができる環境の中に入れることが望ましいと思います。それは保育園でなければいけないという意味ではありませんが、保育園のほうが望ましいのではないかと子どもの発達過程を見るとそう思います。
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フリードマン博士: |
このご質問はパスできればと思います。お答えも持ち合わせておりませんし、これがよいというご提案もありません。と同時に、生活環境を考慮すべきだと思います。家族は社会の中で暮らしています。母親が食べていくために、あるいは家計を支えるため、もしくは家族の経済状態をさらによくしようと働きに出なくてはならないことも、よくあることです。問題となるのは、子どもに保育を受けさせるときに、いつが最適かということではなく、子どもが最適な状態で発育できるよう、十分な、あるいはそれ以上の、格別の環境をどのように作っていくかということです。これについては、また後ほどふれますが、保育を子育て全般に必要な一部分と考えると同時に、社会環境の一部分としても考える必要があると思います。子どもを何歳から保育園に預けるかという問題を、子どもの発達という面のみでとらえ、保育の問題だけを取り上げれば、そこに何かが欠けている気がいたします。全体的な見方が欠けています。しかしながら、先ほどのご質問で、すべての環境が最適な状態にある場合、母親が働く必要がない、お金を稼ぐ必要がない、キャリア上の問題はない、すべて問題ない、ということであれば、いつから保育を、という問いへの答えはないと思います。私もわかりません。
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牧田さん: |
時間の関係上、この質問で最後にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
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