トップページ サイトマップ お問い合わせ
研究室 図書館 会議室 イベント情報 リンク集 運営事務局
記事一覧
前月の記事
翌月の記事
  NEWS LETTER HEADER

Vol. 21, No. 5, May 2005
1. 10代の若者に安全で効果的なニコチンパッチ
2. 子どもの双極性障害(躁うつ病)についての保護者向け資料

10代の若者に安全で効果的なニコチンパッチ

 タバコをやめたいと思っている10代の若者の治療に用いられるニコチンパッチとニコチンガムの安全性と効果について、最新の研究結果が報告された。13歳から17歳までの総数120人の若者が、12週間にわたる二重盲検式、無作為研究に参加した。参加者はそれぞれ、21mgのニコチンパッチ、2mgと4mgのニコチンガム(46人)、そして偽薬のパッチとガム (40人)を投与された。また、これらすべてのグループに、認知行動療法が施された。主な調査結果として、タバコ依存の10代の若者の禁煙治療には、ニコチンパッチがかなり効果的だということがわかった。研究終了時および3ヶ月後の追跡研究では、ニコチンパッチは偽薬に比べて著しい効果があるが(ピアソン係数0.058)、ニコチンガムにはあまり効果がないこと(ピアソン係数0.51)がわかった。ニコチンパッチとニコチンガムは、いずれも患者に受け入れられやすい治療法であり、現時点では安全性にも問題はなさそうである。研究者は、一度タバコを吸う習慣がついてしまった若者が大人になってもタバコを吸い続けると、短期的にも長期的にも健康を害し、若くして死に至る原因にもなると強調している。そして、これまで一度でも禁煙をしようとして失敗した10代の若者の多くが、専門家の助けを必要としているのだという。

子どもの双極性障害(躁うつ病)についての保護者向け資料

  • 双極性障害(別名:躁うつ病、循環精神病)は、治療が可能な遺伝性の脳疾患で、気分や行動、考え、態度などに非常に大きな波があるという症状を特徴とする。

  • トラウマがきっかけになることもあるが、はっきりした原因が無く発症することが多い。症状は年齢に関係なくあらわれ、就学前に発症することもある。

  • 青年や大人の場合、双極性障害の発症率は1-2%、軽症の双極性障害(反復性うつ病)の発症率は5-7%と言われている。幼児の有病率を調べた研究は無いが、子どもが発症した場合の初期症状について医者の認知度が高まってきているため、双極性障害と診断される子どもの数は増えてきている。また、まだ知られていない原因のために、発症数が増えてきている可能性もある。研究者によると、アメリカでは、そのほとんどが診断されていないものの、少なくとも75万人の子どもや若者が双極性障害をかかえている可能性があるという。

  • 双極性障害の子どもは、学業不振、依存症、自殺などに陥る危険性がある。双極性障害による自殺を原因とする死亡率は、小児癌による子どもの死亡率よりも高い。

  • “National Depressive and Manic-Depressive Association” が1993年に行った調査に参加した双極性障害の成人患者の59%は、思春期もしくは思春期に入る前に症状が現れたという。発症してから適切な治療がなされるまでには8-10年かかることが多く、子どもの場合はもっと長くかかる。

  • 子どもの双極性障害は、遊びたがらない、常に泣いたりいらいらしたりする、などの深刻なうつ状態から始まることが多い。就学前の子どもは「死んでしまいたい」と話をすることがある。躁病(活発状態)の特徴としては、睡眠の減少、活動過多、向こう見ずな行動、興奮状態、大袈裟な発想などが挙げられる。うつ状態や躁状態にある時は、頭の中でさまざまな考えが絶えまなくよぎる、一人になることを怖がる、激しいかんしゃくを起こす(激しい怒り、情動のコントロールがきかなくなる)、などの症状があらわれる。時には、うつ状態と躁状態が同時にあらわれたり(活力がみなぎっているのに落ち込む、など)、一日の間にうつ状態と躁状態が交互にあらわれたりすることもある(急速交代型と呼ばれる状態)。

  • 双極性障害の症状は、いくつか重要な違いはあるものの、多動性障害(ADHD)の症状に似ている。ADHDと診断された子どもの約15%は、双極性障害にもかかっている可能性がある。双極性障害は、始めにうつ症状が現れる場合が多い。双極性障害の子どもや、家族の誰かが双極性障害にかかったことがある家庭の子どもが、刺激剤や抗うつ剤を使った治療を受けると、躁病や躁うつ混合状態を引き起こすことがある。

  • 国立精神保健研究所の調査によると、15歳以下の子どもの150万人以上が深刻なうつ病にかかっている。最近行われた長期研究によると、思春期を迎える前に深刻なうつ病にかかった子どもの約半数が20歳までに(双極性障害の診断の決め手となる)躁病も発症している。

  • 子どもに薬物療法や心理療法を用いながら、子どもとその家族を対象とする心理教育療法、同じ立場の親同士の交流、学校生活への適応などを平行して進めていくことが、効果的な治療プランであろう。

 詳しくは、Child & Adolescent Bipolar Foundationのホームページ:www.bpkids.orgをご参照ください。


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, May 2005
Reproduced with permission of John Wiley & Sons, Inc.
For subscription information contact John Wiley & Sons, Inc. at:
111 River St.,Hoboken, NJ 07030-5774 USA
Phone 1-800-333-7771
Fax 1-201-748-8824
E-mail: subinfo@wiley.com.
 
ページトップへ

Copyright (c) 1996-, Child Research Net, All rights reserved.
このホームページに掲載のイラスト・写真・音声・文章・その他の
コンテンツの無断転載を禁じます。

利用規約 プライバシーポリシー お問い合わせ
ベネッセコーポレーション チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は、
ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。