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Vol. 22, No. 1, January 2006
1. 子どもの交通事故と急性心的外傷ストレス障害
2. 手術前の子どもの不安をピエロが和らげる
子どもの交通事故と急性心的外傷ストレス障害
交通事故に遭った子どもは、負傷していない場合でも、急性の心的外傷ストレス障害にかかることがある。交通事故に遭ったが怪我はしなかった子どもが受けた影響を評価する研究をしたフィラデルフィア子ども病院の研究者たちは、急性心的外傷ストレス障害の症状が正しく診断されていない可能性があると結論付けている。こうしたケースの場合、回復に必要な心理的なサポートが受けられていないと述べている。子どもが交通事故に遭った場合、治療に当たる専門家は、心的外傷ストレス障害の症状が見られないか、子どもと親に対しスクリーニングを行うよう検討するように勧めている。
手術前の子どもの不安をピエロが和らげる
これから手術を受けようとする子どもの多くが、手術前のストレスを非常に強く感じている。最新の研究によると、約60%の子どもが、手術前の待機時間中に強い不安を抱いて苦しんでいた。この不安は、慣れない病院での心細さや手術機器に対する恐れの他、緊張、憂慮、神経過敏、心配、親から離れる不安、自分ではどうすることもできないもどかしさなどから来るものだ。この手術前の不安を和らげるには、薬や行動療法も有効だが、麻酔をかける前にピエロに扮した医師が登場することで、麻酔が効くまでの不安を和らげることができる。子どもばかりでなく、付き添う親の気持ちも和らげることのできる今までにはなかった方法である。この研究に参加した40人の子どものうち、20人の子どもに対して、ピエロはあの手この手で楽しませ、気を紛らわせた。もう一方の20人の子どもに対しては、ピエロが登場する場面はなかった。手術を待つ時間のピエロの存在は、子どもや親の不安を和らげる効果があり、何もしなかったコントロール群の子ども達と比較して明らかに不安を小さくしたようだと研究者たちは述べている。手術前にこうした介入で子ども達の不安を和らげるよう研究者たちは勧めているが、手術室でこうした種類の介入を行うに関しては、反対する医療スタッフもいるかもしれないと指摘している。こうした抵抗に向き合うためには、この種の介入の利点に関する情報をもっと集め医療スタッフに提供すると共に、ピエロによる介入が麻酔をかけるプロセスを大きく遅らさせるものであるか否か、さらなる調査をしていく必要があるとしている。
The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, January 2006
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