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Vol. 21, No. 12, December 2005
1. 若者を対象とした禁煙メディアキャンペーンに関する研究
2. スクール・サイコロジスト育成プログラムを新設

若者を対象とした禁煙メディアキャンペーンに関する研究

GottaQuit.com (http://www.gottaquit.com/) と呼ばれる禁煙メディアキャンペーンは、タバコをやめたいと思っている十代の若者にとって、効果的なインターネット情報源であるようだ。 このメディアキャンペーンの結果の評価を行う電話調査によると、十代の喫煙者のほぼ全員がタバコをやめたいと答え、タバコをやめようとした回答者の約4分の1は、GottaQuit.comや、禁煙を支援する別のウェブサイトを見たことがあった。

ジョナサン D.クライン医学博士 (Jonathan D. Klein, M.D.) と共同研究者達によると、上記の結果は、他の研究結果と同様、若者が積極的にタバコをやめたいと思っていることを示すものである。クライン博士達の調査結果から、十代の若者は、インターネット上でやりとりされるメッセージを非常に受け入れやすいので、ウェブベースの禁煙情報は効果的であるということがわかっている。タバコ業界が、広告に毎年約70億ドルものお金を費やしていることに対して、クライン博士と共同研究者達は、禁煙を促す対抗戦略を立てなければならないと考えている。彼らによると「これはインターネット上の情報とマスメディアからのメッセージを統合した、地域密着型の若者向け禁煙運動についての初めての研究報告である。」

GottaQuit.comメディアキャンペーンは、2001年1月、ニューヨーク州、モンロー郡で実施され、ラジオ、テレビ、看板、都市バスなどの有料広告によって宣伝された。GottaQuit.comのウェブサイトには、禁煙に関する情報に加え、チャットができるコーナーが設けられており、若者が、訓練を受けた禁煙指導員や喫煙経験者と話をすることができる。

メディアキャンペーンの評価調査は3段階にわたった。まず、GottaQuit.comキャンペーンを実施する1年前に事前電話調査を行った。キャンペーンの1年後には、事後調査を実施し、人口学的統計情報、メディアキャンペーンの受容度、そして、ラジオ、テレビの視聴、インターネットの使用時間に基づいたメディアの使用度などについて調べた。また、2003年には、モンロー郡の32の学校で、青少年のリスク行動調査(Youth Risk Behavior Survey, YRBS)という別の追跡調査を実施した。

喫煙についての自己報告の結果は、キャンペーンの事前調査と事後調査において類似していた。彼らが最初に喫煙したのは、平均で14歳の時だった。 両方の調査において、喫煙者であると答えた若者は、喫煙者ではない若者よりも年上の傾向が強く、喫煙者である若者の大部分は、ニコチン依存症だと思っていた。事後調査によると、十代の若者がタバコを吸う傾向は、白人の方がアフリカ系や他の人種よりも強いことがわかった。

キャンペーンの評価調査の結果、喫煙者の大部分が完全に禁煙したいと思っていることがわかった(事前調査では87.3%、事後調査では73.5%)。事後調査を受けた喫煙者は、事前調査を受けた喫煙者よりも真剣にタバコをやめようとする傾向が強く、禁煙を試みた回数も多かった。喫煙者であると自己報告したネットユーザーのほとんどが、GottaQuit.comのサイトを見ており、 YRBS追跡調査でも、11%の若者が、GottaQuit.comや、禁煙を支援する別のウェブサイトを見たことがあった。

クライン博士らは次のように結論づけている。若者には、禁煙介入が必要なのではないかと示唆する研究結果がある一方、多くの若者は禁煙治療プログラムのことを知らない。また、若者のなかには、秘密が守られるのか、親が介入してこないか、あるいは、カウンセラーに相談しても自分の気持ちを理解してもらえないのではないか、という不安があるのかもしれない。その点、批判的な立場を避けたホームページによる情報提供は、禁煙をしようと助けを求めている十代の若者にとって大きな助けになるだろう。



スクール・サイコロジスト育成プログラムを新設

児童を対象とした精神衛生ケアの必要性が増大しているのに応じ、マサチューセッツ大学の心理学部(MSPP)は、スクール・サイコロジスト養成プログラムを新設した。2006年9月開講予定のこのプログラムでは、スクール・サイコロジストが従来のテストや評価にとらわれず、より高度な専門技術を習得するトレーニングが実施される予定だ。「学習の妨げとなる感情・社会・発達面での障害を児童が適切に対処できるように手助けする技術」を習得させることに焦点が当てられている。
プログラム・ディレクター、ボブ・リヒテンスタイン博士は、十分に指導を受けたスクール・サイコロジストはかつてないほど求められていると言う。「現在の子ども達は、成長期特有の葛藤に加えて、学校での身の安全の確保・家庭内のトラウマ・両親の離婚・安心感を揺さぶるような社会的事件などと向き合いながら生活している。」と続けている。この3年制のプログラム修了者には心理学専攻の修士とスクール・サイコロジーの大学院研究上級過程の修了証明書を授与される。
*MSPPではこのプログラムの願書を現在受付けている。 詳しくは、http://www.mspp.edu/を参照。

*2005年12月の記事の翻訳です。ホームページ(英語)でご確認ください。


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, December 2005
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