9月 |
〜わが家のアン・テリ物語(2/6)〜 |
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<今月の本> ガブリエル・バンサン作 『アンジュール』、フィリッパ・ピアス作 『まぼろしの小さい犬』 |
◆子どもの心を癒す動物たち◆ 一挙に、話は40年以上も前のことに遡ります。 テリは賢い犬で、わが家の緑の下が寝床でしたが、朝、私が登校するときは決まってついてきて、近くの小川に掛かる土橋の上までくると、そこにきちんとオスワリをして、私が見えなくなるまで見送っています。私が下校して土橋の当たりまで帰ってくると、どこで見ているのか、必ず跳んでくるのでした。 そんなテリが子犬を産みました。子犬たちをかばって緑の下の寝床にいることが多くなりました。ある時、近所の人がやってきて、何気なく緑の下を覗いたとたん、テリはいきなり噛みついたのです。子犬を取られるとでも思ったのでしょう。 私は泣きながら後を追って、大きな柿の木の下まで行きました。テリはそのおじさんに引かれて、振り返り、振り返り、遠ざかって行きました。おじさんも無言でした。 |
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