9月 |
〜わが家のアン・テリ物語(4/6)〜 |
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<今月の本> ガブリエル・バンサン作 『アンジュール』、フィリッパ・ピアス作 『まぼろしの小さい犬』 |
《心を癒す・今月の絵本と物語》ということで、今月は、「犬」にまつわる絵本と物語を選んでみました。 ガブリエル・バンサン作・絵『アンジュール』 (ブック・ローン出版) この絵本は、文字が一字もない絵だけの絵本です。アンデルセンの「絵のない絵本」というのもありますが、これは「字のない絵本」です。 表紙、それから扉を開くと、やせた一匹の犬がこちらを向いている絵があります。次の見開きで、一台の乗用車が道端に犬を投げ捨てて、フルスピードで走り去っていくところが描かれています。もちろん犬は必死で追いかけてきます。それこそ死に物狂いです。 犬はなおも追いかけます。しかし、やはり、車は再び走りだして、とうとう見えなくなってしまいます。ひとり、道の真ん中にぽつんと立ち尽くす一匹の犬。やがて、しかたなく、とぼとぼと歩きだします。といっても、あてがあるわけはもちろんなく、たよりの鼻を活かして、道や風の匂いをかぎ分け、歩き続けます。やがて、ぐったりして道端の草の上に座りこむと、車の音が聞こえました。(戻ってきてくれたんだ!) ところが、とんでもありません。そこは、どうやらハイウェイのようで、次々に車がきます。急に飛び出してきた犬を避けようとしてハンドルをきった一台が後続車に衝突して横転してしまいます。次の一台も追突して、大事故になってしまうのです。 |
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