2月 |
〜子どもの自立、その旅立ち(3/6)〜 |
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<今月の本>ルース・エインズワース作 『ふゆのものがたり』 |
《心に生きる今月の物語》 寒い冬も、もう少し。日が一日一日長くなって、梅の花もほころんでいます。 ルース・エインズワース作『ふゆのものがたり』 (河本祥子訳・絵/福音館書店) 以前にご紹介した『黒ねこのおきゃくさま』と同じ作家の物語です。 作者エインズワースはイギリスの都市マンチェスターに生まれ、3人の男の子を育てながら、児童文学や詩を発表し、イギリスの国営放送BBCのラジオ番組の台本も書いています。以前にご紹介した、私の敬愛してやまないフィリッパ・ピアスもBBCで仕事をしていたのですが、私は何となく両者に共通したものを感じます。それは人生や人間を鋭く、深く捉えて、しかも描いた世界に美しいポエジーがある、という点です。 もちろん、いずれもファンタジーとはいいながら両者の違い、それぞれの個性は明らかです。簡単にいえば、エインズワースの世界はどこか「昔話」に通じる語り口があり幼年が楽しめるのに比べて、ピアスの作品はどちらかといえば、イギリス伝統の心理小説により近い世界ではないかと思います。そのせいもあってか、ピアスの作品は、少し大きい子ども、日本でいえば小学校中高学年以上の子どもたちやおとなに、共感をもって迎えられているように思います。 |
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