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コミュニティベースFANAとは?

(訳者注)*FANAとは、Family Administered Neonatal Activitiesの略で、家庭で新生児の成長発達を見守っていくために開発された方法である。病院の新生児スタッフが両親に指導できるよう作られた原版を、このドゥーラプロジェクトでは、地域でドゥーラが見守っていく方法にアレンジして使用した。

ドゥーラは、赤ちゃんが生まれる前も生まれた後も同じガイドを使って活動する。まず、家庭訪問する時には、その家族に会う前に十分な準備をする。母親や赤ちゃんについて自分が何をどこまで知っているのか、妊娠の段階や、前回の家庭訪問で感じたことなどを振り返ってみる。この若い妊婦はどのように学んでいくタイプだっただろうか−具体的に考える人か、抽象的に考える人か、また、自分のことで精一杯の状態だったか、他人のことも思いやる余裕があっただろうか、と思い出す。妊娠してから、そして赤ちゃんが生まれてから、この10代の少女の生活がどのように変化したかについても思い起こす。ドゥーラは自分自身についても考える。今お腹がすいていないだろうか。家までの道はわかっているか。今の心理状態で訪問することに問題はないか。万全でない場合は、訪問先の家族のためにベストを尽くせるようにするにはどうしたらいいだろうか。

家族に会っている間、ドゥーラは母親とその家族を理解し受容しようと努める。母親らが自分の経験を話す時には親身になって聴き、親として現在どのような発達段階にあるかを考えながら、ありのままを受け入れる。FANAに基づいたこのプロセスは、母親、あるいは両親の様子に焦点を当てることから始まる。妊娠中は、母親の健康状態について話してもらうように導く。出産後は、赤ちゃんの父親が家にいたら父親にも話に加わってもらい、どんな出産だったか話してもらう。熱心に話を聴き、必要に応じて質問しながら、出産前はどんなことを予想していたか、実際はどうだったか、どんな気持ちが湧き上がってきたかについて語ってもらう。ここでの目的は、出産というパワフルな経験を母親や父親が自分のものにできるように手助けをすることである。その後徐々に、ドゥーラは赤ちゃんにも注意を向けていく。例えば妊娠中の場合は、母親に、「手を静かにお腹に置いて赤ちゃんに注意を集中してごらん、この瞬間赤ちゃんは何をしていると思う?」と尋ねる。出産後は、赤ちゃんの状態をよく観察するように勧め、今の状態以外にどんな様子を見たことがあるかについて話してもらう。さらに、もう少し先に進んでいく。生まれる前から赤ちゃんが既に持っている能力について語ったり、母親が赤ちゃんの成長や親子関係の発達についてよく理解できるように、いろいろな経験をさせたりする。赤ちゃんに聴く能力があり、動いたり、光に反応したり、さまざまな覚醒状態を持っているということを母親が知る方法については、Brazelton Neonatal Behavioral Assessment Scale をもとに考案された。

FANAの最終段階は、ドゥーラと母親がこれまでに一緒にしてきたことを振り返る時間を持つことである。これまで見てきたことやしてきたことについてどう感じているか、予想通りだったこと、予想外で驚いたことについて尋ねる。こうして、妊娠中の母親から産まれてくる赤ちゃんへの手紙を添えた家族ノートができあがっていく。
ZERO TO THREE(http://www.zerotothree.org/)が発行する雑誌『Zero to Three』1998年4/5月号に掲載された内容を翻訳して掲載したものです。




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