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大学生の意見

(「大学生の教師観」調査より)



●「まず『人間性』派」の意見

――私は生徒の立場に立った教師でありたいと思う。教師は,厳しい部分もあり,優しい部分もある必要性があると思う。教師は,生徒とともに成長しようとする姿勢が必要だと思うからだ。先生は確かにえらい部分もあるが,それだけを誇張してはいけないと思っている。私は生徒とのコミュニケーションを大切にしながら先生になりたいと思う。

――子どもの可能性を伸ばせること。具体的には子どもがそれまでやってきたことを否定せず,肯定して受け止めて,自信をつけることができること。子どもと一緒に喜べて,怒ることができること。よい子,悪い子ではなく,よい子の中に悪意を,悪い子の中に善意を見ることができ,その両方を認めて,子どもが直したいと思ったときに直す手助けができること。

――教師はあらゆる面で優れていなければならないと思う。人間的にもそうであるし,教えるということに対しても優れていなければならないと思う。だからこそ,やりがいのある仕事でもあると思うが,努力が非常に必要であると思う。よって努力のできない人は,先生になるべきではないと思います。

――幼児・児童・生徒にも,親にも,上司にも,同僚にも,こびることのない教師。生徒にも親にも,上司にもいい顔して,中途半端な中学時代の教師を見てきました。結局,生徒と約束したことをやぶるいい加減なやつでした。最低です。その先生のおかげで中学時代は,思い出したくないくらい。絶対にそんな教師にはなりたくないと,心に誓っています。


「児童・生徒の立場に立つ」こと。そのためには自分のことだけではなく,他人の存在にも配慮をする必要があります。「あらゆる立場を理解できること」は,「優れた人間性」という観点からも,教師には備わっていてほしい資質であると思います。また同時に,「理解する」ためのコミュニケーション能力も大切です。それがすぐにはできなくても,「努力をすること」が大切だという意見がありました。総じて,「まず人間としての資質」面での「必要な点」を挙げてもらいました。


●「『人間性』だけでよいのか?」派の意見

――教育実習を経験して感じたのは,教師はやはり幅広い知識が必要であるということである。自らの専門分野のみならず,学校外での社会経験もたいへん重要であり,一度教職に就いたら定年まで教師を務めるのではなく,企業に勤めたり,他の公共機関に出向いたりする機会があっても良いのではないかと思う。

――今までは,生徒の気持ちを理解できる先生になれたらと思っていたが,今は教師はまず「専門的知識をもっており,毎回の授業をきちんとできる」ことが前提にならなければならないのだと思っている。その上で,温かい心で生徒と接し,生徒の精神面にも充実感を与えることができるような,人間的に魅力のある教師になりたい。また,自分の教育信念をもちつつ,柔軟性のある教師にあこがれる。

――授業が面白い先生で嫌な先生はいなかった。

――教師の仕事は「子どもが好き」という感覚のみでできるものではないと思う。(現場ではよく裏切られるものと思う)対象への愛情・慈しみは必要と思うが,ある程度まで「仕事」として割り切れるだけの冷静さを持つ教師が,私の目標とする教師である。「愛情あふれる」教師はそれを目指す誰かが,その役割を演じていれば,それはそれでよいと思う。

――幅広い教養がある人。しかり方に矛盾がない人。平等に生徒1人1人を見る人。頼りになる人。教科指導に自分なりの方針を持って取り組んでいる人。


確かに「人間としての資質」において重要な部分があることは認めつつも,「それだけではないはず」という意見です。「教師」独特の仕事内容として「教育に携わる」という面だけではなく「授業を行なう」仕事があります。その点を「おろそかにしてはまずいのでは」という意見です。また,学校の中での対人関係の主である子どもに対して求められる「子ども理解」の姿勢だけではなく,やはり年齢相応の「大人としての立居振舞いも必要だ」という意見もありました。


●中間派の意見

――勉強だけにこだわらず,社会に出て使える人間の基盤作りと,生きていく術を持つ人間の育成を重視したい。

――教師である前に社会人。スジがとおっている。

――正直言って,実習に行った後も分からない。ただ,教師の側も,教師という仕事を楽しむことが大切なのではと思った。とにかく,生徒との生活を心から楽しい,生徒がかわいいと思えなければ,絶対につとまらない。その気持ちを持てれば,教師としての基本的な資質を満たしているのではないか。


既に挙げた賛成意見と反対意見と,両者に共通する部分もあります。むしろ,「教職」という立場に特化した仕事内容と「対子ども」場面で求められる資質,そして何よりも「教育」に携わる人間としての,その「職業的資質」と「人間的資質」との両方に等しく重要性を見出している意見だと思います。

ここでベテランの先生方のご意見を伺ってみたいと思います。


ベテラン教師の声』   『教師に必要なものは、まず「人間性」である


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