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教師の意見



●「子どもの立場を常に意識し,物事を判断すること」

堀之内亨(元中学校校長,ベネッセ教育研究所顧問)

――私から「教師の卵たち」に望むことは3点あります。

  1. 「教える」より「学ばせる」
    人は一生のうちにたくさんのことを学び,いろいろな知識や知恵を身につけていくが,そのほとんどは,自らの学習によります。つまり,教師や親から教わる部分は,あらゆる事柄の基礎的・基本的な部分で,その他の多くは自らの力で学びとっていくのです。教師の仕事の多くは,子どもたちにいかに学ばせるか,学び方を身につけさせ,学ぼうという意欲をつけさせ,その学びを助言・援助していくことになります。

  2. 信頼関係
    良い教師は親・子からの信頼感が厚い。信頼関係を創るには「人間性」も大切な要素ではあるが,そればかりではないと思う。専門的な知識や,人生哲学などの面でも造詣が深く,とくに,あらゆる分野に好奇心を持ち,自ら体験するという行動力も欠かせない要素になります。

  3. 人間性の本質とは
    人間性という漠然とした表現では,何をどのように学習・取得すればよいか分からないと思いますが,人間性の多くは,これまでの人生の中で,完成に近い状態にまで出来上がっているので,今ここで人間性を変革することは容易なことではありません。教師にとって優れた人間性というのは,「ほんとうに一人一人の子どもの立場に立って,物事を判断するということ」を,常に意識して生活することが必要です。


●「様々な経験に基づく豊富な知識と人間関係能力」

八木義弘(元小学校校長,ベネッセ教育研究所顧問)

――よりよい教師を目指すため,まず「人間として」の成長を考えることに基本的に賛成。さらに,よき教師の資質・能力として以下の3点を挙げます。学生時代からその資質・能力を磨いて欲しいと思います。

  1. 豊かな人間性
    人間性を磨くために,性別・年齢・国に関係なく多くの人々と接し,価値観・生き方を学ぶとよい。肉体・精神・頭脳労働に関わらず体験を通して学ぶ。何事にも挑戦し,失敗から多くのことを学び成長する。子どもを狭い自分だけの物差しで見ないようになる。

  2. 教育や得意分野の専門性
    教育とは何か時間的・精神的ゆとりをもって思索して欲しい。人の話しを聞くだけでなく持論を披瀝し,議論して欲しい。教育に関わる新聞記事を読むようになる。自分の得意分野を徹底的にこだわりをもち,時間を忘れて追究するとよい。専門性が身に付く。

  3. 学校組織の一員としての公僕性
    クラブでも部活動でもボランティアでも組織の一員として活動することを進める。自己中心でなく,全体の中での自分のあり方,豊かな人間関係を学ぶことができる。


●「子どもの成長を『共有する』という意識と,その前提になる人間関係能力」

河西泰道(元小学校校長,ベネッセ教育研究所顧問)

――教育は,「共有」であると思う。そのために,教師は以下の点に注意したい。

  1. 子どもを育てると同時に,教師自身も子どもと共に伸びる教師でありたい。

  2. 教師一人で子どもを育てると思うことなかれ。組織の中での一人の人間として成長していくためには,多くの人(同僚,家庭,地域)と力を合わせて,育てるという意識を持ってほしい。

  3. 「愛」と「力」と「熱」を持つ教師であってほしい。

    1. 「愛」とは,すべての子どもを平等に扱い,溢れる愛情を注いでほしい。児童理解に徹し,どの子にも公平に接すること。
    2. 「力」とは,確かな知識を持ち,指導する力,創意工夫する力,自信のある体力に満ち溢れていること。
    3. 「熱」とは,常に笑顔をたたえ,あくなき情熱を持ち,意欲的に行動すること。その姿は,子どもの心に映り,訴えるものがあるはずである。

できうるなら,教師として歩み始める前に,企業の経験を積み,組織の中での行動や人間関係の在り方を身につけ,教壇に立てたらよいだろう。
「教育実習」を再検討する必要性を感じる。


大学生の声』  『教師に必要なものは、まず「人間性」である


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