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11月
11月

〜子どもを見つめる眼差し(3/6)〜

<今月の本>エーリヒ・ケストナー作 『小さな男の子の旅』



 そうしているうちに、子どもたちのやり場のないエネルギーは、自らいのちを絶つよりも、校内暴力、家庭内暴力へと移り、それが新たな問題として報告されるようになります。そして、さらに、暴力の対象は子ども同士であったり、教師や近所の人であったり、はては通りすがりの人であったりして、昨今のさまざまな事件となっていきました。まるで、自分自身に向けられていたその矛先が他者へと向けられるようになっていったかのようです。そうしていつからか、いじめ、不登校が問題になり、ついには、子どもの虐待という事態へ、あたかも一挙に逆転してしまったかのようです。

 子どもの問題は、もちろん、そう単純な話ではないのですが、私には、以上のような流れがあったように思えてなりません。
 そして、高史明さんご夫妻のような、すばらしいご両親に恵まれながらも、自死しなければならなかったひとりの少年を思うとき、子どもは、両親のみに育まれるのではなく、家庭というものが基本ではありながら、やはり、世の中全体が、社会が、子どもたちを育んでいくのだ、そうあるべきだ、ということに思い至るのです。
 つまり、ひとりの子どもを見つめ、見守る他者の眼、おとなのまなざしが、子どもの成長にとって、いかに大切であるかということです。

《心を満たす今月の物語》

 「さすがケストナー、古くて新しいケストナー。」これが、最近、一冊の本に出会ったときの実感でした。
 『ふたりのロッテ』『エミールと探偵たち』『飛ぶ教室』などの名作の作者として、あまりにも有名なケストナーの、ちょっとめずらしい短編集をご紹介します。


小さな男の子の旅

エーリヒ・ケストナー作『小さな男の子の旅』

(堀川理万子絵、榊 直子訳/小峰書店)

 てのひらに乗りそうな、こぶりの短編集です。本のタイトルにもなっている「小さな男の子の旅」と「おかあさんがふたり」の2篇が入っています。


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