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1月
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〜新しい「隣人」の大切さ(4/6)〜

<今月の本>宮沢賢治作 『セロひきのゴーシュ』



◆物語のあらすじ◆

 ある楽団のセロ(チェロ)弾きであるゴーシュが、楽長に叱られます。テンポも合わないし、表情も出ていないと、手厳しく言われました。恥ずかしさとすまなさと、そしてくやしさとで、胸を痛めてひとり、町はずれのこわれた水車小屋に帰ってきます。
 帰宅したゴーシュが気を取り直して必死で練習していると、だれかが扉を叩くのです。大きな三毛猫でした。どうやら、ゴーシュの畑からトマトをとってきたようです。
 ゴーシュが叱りつけると、猫はにやにや笑いながら、

 「先生、そうおおこりになっちゃ、おからだにさわります。それより、シューマンのトロメライをひいてごらんなさい。聞いてあげますから。」
 などといいます。ゴーシュは怒り狂って、「インドのとらがり」という曲を弾きまくり、あげくは曲の響きに苦しがる猫の舌でマッチを磨って驚かし、追い出します。

 次の晩は、音楽を教わりたいといって、かっこう鳥がやってきます。
 「かっこう」と鳴くのもむずかしいので、ドレミファを正確にやりたいというのです。
 おまけに、ゴーシュのドレミファが少し違うといいだします。
 あまりにかっこうが熱心なのにつられて、怒りながらも、ゴーシュはさんざん弾きますが、ついにばかばかしくなって止めてしまいます。

 「なぜやめたんですか。ぼくらならどんないくじないやつでも、のどから血が出るまではさけぶんですよ。」
 などとかっこうは抗議します。ますます怒ったゴーシュはかっこうをおどして、逃げようとして窓ガラスに追突するかっこうを、壊した窓から飛び立たせます。


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