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2月
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〜子どもの自立、その旅立ち(4/6)〜

<今月の本>ルース・エインズワース作 『ふゆのものがたり』



◆物語のあらすじ◆

 では、さっそく物語のページを開いてみましょう。

 ――ま夜なかに、ダークは目をさましました。ぱっちり目をあけて、くらやみをじっとみつめました。(中略)あかりといえば、いまにも消えそうに、ぼんやりと赤くもえている、だんろのまきの火だけでした。そのまきが、もえてくずれると、カサッと音がしました。――

 このように、静かに、美しく、息づまるような時間の流れのなかで物語は始まります。
 男の子はなぜか気になって、ベットを抜け出し、窓から外をのぞいてみます。ところが窓ガラスはいちめん氷ついていて、なにも見えません。そこで、ガラスに息を吹きかけ、指でこすって覗き穴をつくります。すると、

 ――大きな、まるい黒い目がひとつ、こちらをのぞきこんでいました。
 ダークは、まばたきもせずに、じっと見つめました。大きな丸い目も、ダークをみつめかえしました。――

 次の夜も、目をさましたダークは、両親の寝息を聞きながら耳をすましていると、だれかが窓をたたくような音を聞きます。またベットから出て窓にかけより、今度はてのひらでこすって、きのうよりも大きな覗き穴をつくります。

 ――トントンという音が、またはじまり、枝のようなものがみえました。でも、わきに小枝のでている、ふつうの木の枝ではありません。ふとくて、かたそうなものでした。なにかににていましたが、それがなんだか、おもいだせませんでした。――

 これが、ダークと不思議な友だちの出会いのはじまりです。もちろん、父さんも母さんも、ダークの話を信じません。夢なんかじゃなく、ほんとに見たんだといいはるダーク。母さんは、息子の顔つきから、信じてもらえないことで、ダークの気持が傷ついたことには気づきますが、やさしくなぐさめるだけで、やはり信じてやることはできません。


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