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3月
3月

〜春の風、青い空への思い(3/6)〜

<今月の本>F・フルビーン詩 『青い空』



 しかし、ともかく、あのクラスの先生と子どもたちは互いにしっかりと見つめあっていたと思うのです。通じ合ったお互いの心が自由に羽ばたいていたように思えるのです。
 30歳近くなった娘にとって、あのクラスの友だちはいまだに大切な仲間です。いろんな職業の家の子どもたちが、成人していろんな職業を身につけて、それでなお、友だちなのです。

《心に生きる今月の絵本》

この「子どもの心と本の世界」シリーズの最後に、今月は詩で書かれた絵本をとりあげました。子どものための「詩画集」といってもいいほど、絵も詩も共に優れ、かつ調和した、稀なる一冊です。そのセンスと質の高さは、もちろんおとなをも魅了します。
 そこに描かれている青空の下でのびのびと遊ぶ子どもの姿、それは永遠の子どもとでもいいましょうか。私たちが忘れかけていた自分が子どもだったころの<青い空>を思い出させてくれることでしょう。

 もともとヨーロッパに、ことに東欧やロシアには、子どもの文学のなかでも詩や詩の朗読を重んじるという伝統があるようです。それが、必ずしも特に現代の日本には根づいていないことを憂えていたのは、児童文学者の小河内芳子先生でした。それでも、北原白秋たちの文学活動が受け継がれて、与田凖一や、まどみちお、阪田寛夫などの優れた詩や童話などに息づいているのはうれしい限りです。
 また、谷川俊太郎の「マザーグース」や「ことばあそび」シリーズも、子どもたちとおとなたちへの、楽しい贈り物であるといってまちがいありません。

 まどみちおさんが国際アンデルセン賞の作家賞を日本人としてはじめて受賞したこともあり、マスコミやおとなの文学のメディアからも注目されるようになりました。
 しかし、実はそれだけではなく、地道な創作活動ながらも「現代児童詩」「少年詩」というジャンルとして、他にも多くの詩人、作家たちが、今も昔も取り組んでいるのです。(詳しいことをお知りになりたい方は、以下の3冊をご参照ください。畑島喜久生著『北原白秋再発見』『与田凖一論 童謡と少年詩』『弥吉管一と児童詩教育』3冊ともリトル・ガリヴァー社刊)
 何よりも、子どもたち自身が「詩」を書くということへのアプローチ、大きな意味での教育もなされてきました。それが、多くの教育現場でとまでは言えないのが残念です。


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