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3月
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〜春の風、青い空への思い(4/6)〜

<今月の本>F・フルビーン詩 『青い空』



青い空

F・フルビーン詩/ヨゼフ・チャペック絵『青い空』

(いでひろこ・訳/借成社)


 チェコの多才な兄弟、ヨゼフ&カレル・チャペックは、子どもたちのためにも多くの作品を残してくれました。この本の具象画と抽象画の境界にあるような、シンプルでしかも力強く、何よりも美しい絵を描いたのはヨゼフ・チャペック。童話集『長い長いお医者さんの話』などを書いたカレル・チャペックの兄です。
 彼らは他にも共著で『園芸家の12か月』という知る人ぞ知る随筆の名品や戯曲『虫の生活』を生み出しています。

 「あとがき」によると、ヨゼフは人生の最後をナチスドイツの収容所を転々としたまま、1945年、つまりまさに第2次世界大戦の終了したその年に58歳でこの世を去っています。
 3年後に、ヨゼフの残した作品群のなかから、子どもの情景を描いたパステル画の15点をえらび、やはりチェコの著名な詩人フランチシェク・フルビーンの詩を添えて出版されたのがこの本です。思うに、フルビーンは不運にも亡くなったヨゼフを偲んで、挿絵ならぬ「挿し文」としての詩をつけたのではないでしょうか。
 ヨゼフが収容所で書き残した詩に次の様な一篇があります。

あの 大空の青
そんな青い絵を わたしはかきたい
いつも喜びと幸せにみちていた
ふるさとの家から立ち登る うす青い煙
そして 子どもたちのあそびのなかの青
わすれな草の花のように青く
つぐみのさえずりのように青く
あやめやつりがね草が 花開くとき
たくさんの青いうたが 生まれ
わたしの愛する人のリボンも青かった・・・・・・

ヨゼフ・チャペック(1944年/ザクセンハウセンの収容所にて)

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