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−対 談−
シナプスの微量物質が心と体のバランスを支配する
小林 登×持田澄子

3  興奮と抑制のバランス自然界の心地よい刺激
小林 最近は子どもの軽度発達障害の問題でも神経伝達物質のことが話題になりますね。
持田 私は医学部出身ではないので、病気についてはあまり詳しくないんですけど、多動症と言うんでしたっけ。
小林 そうそう。
持田 あれなどは、ドーパミンという脳の伝達物質の機能不全によると言われていますね。神経伝達物質はバランスが大切で、多すぎても少なすぎても変調をきたします。
小林 興奮性に働く伝達物質の方が多いんですか。
持田 圧倒的に多いですね。ただ、同じアセチルコリンでも、運動神経系では、筋肉に放出されて筋肉を収縮させるために興奮を起こすんですが、ある部分には抑制するように働きます。例えば心臓に関しては、興奮が起こりにくくなるように働く。だから、同じ伝達物質でも興奮性に働いてみたり、抑制性に働いてみたりもします。
小林 現代社会は神経のバランスを狂わせてしまうものがたくさんあるんでしょうね。
持田 そうですね。外から入ったものが伝達物質の受け皿である受容体にくっついてしまうものであれば、その神経を興奮させてしまいます。例えば、環境ホルモンには神経の受容体にくっついてしまうものが含まれているんです。そのために、普通ならば自然に興奮しているものが、変なものによって興奮させられてしまいます。
小林 現代の子どものように、自然からの刺激が少なくなると、大人のように人工物や嗜好品によって刺激を受けようとし始めるかもしれない。
持田 体の仕組みからするとそういうことは言えると思いますね。特定の神経ばかり使っていて他のところが使われていないときに、アルコールなどによって全体に興奮させてあげて、躁状態にするというようなことはあるとは思うんです。でも、私たちは、こんなきれいな地球の自然の中に生まれ育っていますので、そういう自然の刺激によって活性化するのが本来の姿だと思います。
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