胎児期のアルコール曝露による神経系統の障害について

　妊娠中に過度の飲酒をした母親の子どもは、四肢の神経に恒久的障害を受けることがある。研究者達は、子宮内でアルコール曝露をうけた生後1ヵ月の乳児が、腕と脚の神経を介するメッセージ伝達が有意に困難なことを見出した。研究班のディレクターであるジェームス・L・ミルス医師によると、一歳になった時点でも神経障害は残り、アルコールが神経発達に恒久的障害を与えることを示唆している。ミルスは、研究班は引き続き子どもたちを追跡調査し、神経障害が後年どのような影響を及ぼすかを調べる予定だと述べた。国立小児保健発達研究所（NICHD）の研究者達は、チリ大学の研究者達と共同研究を行い、妊娠中に大量飲酒をした母親から月満ちて生れた新生児17名とアルコール曝露を受けなかった新生児13名を比較した。（Journal of Pediatrics 小児科雑誌）

Saigal S, den Ouden L, Wolke D他：Development problems in low birth weight children,　Pediatrics 2003;112:943-950.

遺尿症が子どもや家族に与えるストレスを数値化する

　遺尿症が子どもやその親たちに与える日常的ストレスの評価法を開業医に提供するため、研究者らは最近、短いが学問的に妥当なアンケートの開発、評価をはじめた。その意図は、夜間及び/又は日中の遺尿症を継続してモニターするための包括的、客観的かつ効果的なアンケートを開発することである。
　この手段をテストするため、全国5ヵ所の専門診療所で遺尿症治療を受けている子どもの親208名に依頼して、クオリティ･オブ・ライフを評価するための小児遺尿症モジュール（PEMQOL）というアンケートに答えてもらった。
　回答者は主として母親（88％）で、子どもが診療所で予約診察を受ける際に答えてもらった。患者の56％は女の子で、年齢は5歳から17歳だった。PEMQOLは、ひとつの項目とリッカート評定法（態度を測定するための尺度）を用いたいくつかの部分から成る。アンケートの核には、子どもと家族の影響評価尺度を含めた。他の部分では、対処能力、治療をうける熱意、挫折感の程度、問題に対する親の態度、これまでに受けた治療が成功した回数、家族内の団結などを含んだ。遺尿症をタイプ別にすることにより、女子より男子の間で夜尿症有病率が高いのを見出した（43％対57％）。男子より女子の方が、夜間と日中の両方で失敗の回数が多いことが観察された（31％対69％）。日中の失敗が多い独立したサブグループでも女子に偏りがみられた（80％対20％）が、どちらのグループもサンプル数が非常に少なかった。
　新しい評価法の成績は満足すべきものであり、更に改善すれば、遺尿症の子どもとその家族の日常生活に対するケアや治療結果の基準化のための、一条件に特定した影響を調べるアンケートとして有用なことが証明できるだろう。
　著者らは現時点でわかったこととして、遺尿症とその治療は、問題に対する親の態度、子どもの意欲や対応、家族の団結、挫折感などが絡み合う複雑な問題であることが示唆されたと述べている。

Landgraf JM, Abidari J, Cliento BG　他：Coping, Commitment,　and Attitude: Quantifying the Everyday Burden of Enuresis on Children and Their Families(対処、意欲、態度：遺尿症の子どもとその家族が受ける日常的ストレスを数値化する) Pediatric誌 2004; 113(2):334-344

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