
Vol. 20, No. 10, October 2004
1. ボディー・イメージ−親への助言
ボディー・イメージ−親への助言
自分の体に対する良いイメージや強い自尊心を子どもの心の中に育てるために、親ができることはたくさんあります。もし、自分の子どものボディー・イメージ、自尊心、食習慣などに少しでも気にかかることがあれば、かかりつけの医師に相談するか、専門医を紹介してもらいましょう。
自己の「ボディー・イメージ」とは、自分の体についての思いや感じ方、他人の目に映る自分の姿を想像することをいいます。しかし、そのようなボディー・イメージと実際の容姿とは、ひどくかけ離れている場合があります。誤ったボディー・イメージを持つと、摂食障害、鬱、不安、自尊心の低下といった、一連の悪影響を引き起こすことがあります。そして、自尊心が低いことが、交友関係や職業の選択などにも深刻な影響を与えることがあります。
また、自分の外見を恥ずかしいと思い、運動をしなくなる人がいます。自分の体を他人に見られたくないからです。ほとんど体を動かさず、座ってばかりいる生活を続けていると、肥満や心臓病などになる危険性も高くなります。
良いお手本になるために
子どもの人生で最も影響力のあるお手本となれる人物はあなた、親です。親は自らの行動によって子どもに自信を与えることができるのです。例えば:
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子どもは親から食習慣を学びます。したがって、家庭の食卓には、新鮮な果物、野菜、赤身のお肉、脂肪分の少ない乳製品、穀類などを多く取り入れ、既製のお惣菜や揚げ物、甘いお菓子などは控えましょう。 |
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急激なダイエットはやめましょう。そして子どもにも急激なダイエットをさせないようにしましょう。若者は急激なダイエットに害はなく、減量にも効果的だと思い込んでいることが研究によって明らかにされています。急激なダイエットは危険なのだということを子どもに教えましょう。Better Health Channelの記事を参考にしてください。 |
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自分の体型を受け入れましょう。そして、身体の「醜い」部分について不満を言うのをやめましょう。少なくとも、子どもにそのような話をするのはやめましょう。 |
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他人の体型を受け入れましょう。外見を重視するのはやめましょう。子どもも同じように重視するようになってしまいます。代わりに、性格や特技、生き方など、個人の持つ様々な特徴について話すよう心がけましょう。 |
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定期的に運動をしましょう。少なくとも一週間に一回は、家族で一緒にできる運動、例えば、ハイキング、ダンス、裏庭でのクリケット、散歩や水泳などをしましょう。 |
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痩せていることを助長するようなメディアのメッセージやイメージに対して批判的になりましょう。西洋社会が造り上げた、「美しさ」についての視野が狭い考え方に対して、疑問を持ち、異議を唱えることを子どもにも教えましょう。 |
子どもに運動習慣を身に付けさせよう
研究によると、自分の外見にこだわっている人よりも、体を動かすことの大切さを理解している人の方が、自分の体に満足しており、自尊心も高いことがわかっています。以下に提案事項を挙げます。
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活動的な家族になりましょう。親である自分も運動をするよう心がけ、子どもも小さい頃から一緒に参加させるようにしましょう。例えば、子どもを乳母車に乗せて散歩に行き、子どもが大きくなったら少しずつ歩かせてみましょう。 |
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減量や体重維持よりも、心身の健康や娯楽のために運動をしましょう。 |
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子どもが楽しめるチーム・スポーツを見つけましょう。チーム・スポーツは友情やチームワーク、競争心を育み、身体能力も高めることができます。子どもは、自分が参加しているスポーツに熱中すればするほど、大人になってからもそのスポーツを続けることが多いのです。 |
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誤ったボディー・イメージを持ってしまうきっかけの一つに体重過多が挙げられます。定期的に運動することによって、健康的な体重を維持することができます。 |
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体操やバレエなど、痩せていることを重視する運動には気をつけましょう。気持ちが弱い子どもは体重を落とさなければならないというプレッシャーを感じるかもしれません。 |
子供たちに自信を持たせるために
子どもの自尊心を育てるには、自分らしさ(自己認識)や自分を大切にする気持ち(自己価値)を強く持たせることが不可欠です。そのための提案として:
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自分の力で問題を解決しようとすること、自分の意見を述べること、個性を大切にすることなどを奨励しましょう。 |
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生活のなかで困難なことにぶつかった時にどうすればいいのか、様々な対処の仕方を教えましょう。 |
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嫌なことは断ってもよいことを教えましょう。自分の気持ちを無視されたり、何かを強制されていると感じた時に、自分の気持ちをはっきり表現できるよう促しましょう。 |
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子どもが抱えている体型や容姿の悩みに耳を傾けましょう。特に思春期は不安な時期です。体の変化は自然なことであり、個人差もあることを教え、不安を取り除いてあげましょう。 |
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子どもの体重、体型、容貌などについてからかうのはやめましょう。悪意のないあだ名であっても、容姿に関することであれば、子どもは傷つくことがあります。 |
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才能や技能、学校の成績など、子どもが何かをやり遂げたことを評価するようにしましょう。 |
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年齢に合った家事を頼むなどして、子どもが家族の中で大切な役割を担っていることを伝えましょう。その家事をしてくれることで、どれほど家族が助けられているか話してあげましょう。 |
学校への相談
健康的なボディー・イメージや自尊心を育むのにふさわしい環境として、子どもが通っている学校も挙げられます。以下のような問題に心当たりがあれば、校長に相談しましょう。
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外見をからかわれることで、誤ったボディー・イメージを持ってしまうことがあります。いじめ防止について、子どもの通う学校が効果的な方針を掲げているかどうか確認しましょう。もしあなたの子どもがいじめにあっているのなら、すぐに校長に相談しましょう。 |
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痩せていることや外見にこだわっている同級生の影響で、誤ったボディー・イメージを持ってしまう可能性もあります。学校に相談して、「ボディー・イメージ」についての授業を行ってもらいましょう。 |
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もし、あなたの子どもが、痩せている子だけとしか遊ばないグループと親しくしているようであれば、他の友達とも遊べる機会を作ってあげましょう。前述のようなチーム・スポーツが効果的かもしれません。チーム・スポーツはいかに上手にできるかが重要なのであって、容貌を気にする必要はないからです。 |
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必要であれば、露出度が多いものや、体型がはっきりするユニフォームを避けるよう学校に相談してみましょう。人の目を気にする生徒は、ユニフォームを着ることに抵抗を感じ、運動をしたがらないかもしれません。 |
相談先
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かかりつけの医者 |
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子どもが通う学校の校長 |
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地域の保健所 |
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栄養士 |
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心理学の専門家 |
覚えておきたいこと
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子どもに対して最も影響力のある人はあなた、親です。お手本になりましょう。 |
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外見よりも、体を動かすことの大切さを知る機会を子どもに与えましょう。 |
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もし、自分の子どものボディー・イメージ、自尊心、食習慣などに少しでも気がかりな点があれば、かかりつけの医師に相談して適切な専門医を紹介してもらいましょう。 |
出典:Better Health Channel : http://www.betterhealth.vic.gov.au
The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, October 2004
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