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Vol. 21, No. 1, January 2005
1. ADHD治療が薬物乱用の危険性を高めることはない

ADHD治療が薬物乱用の危険性を高めることはない

 NIDA(国立薬害研究所―米国))が支援する研究者達によると、注意欠陥多動障害(ADHD)の子どもで、刺激剤投与による薬物治療を受けた子どもは投与されなかった子どもと比較して、後に薬物乱用障害にかかる割合が低いということである。

 ボストンのマサチューセッツ総合病院のティモシー・ウィレンスをはじめとする医師達と、ハーバード大医学部の研究者達は、刺激剤で治療を受けたADHDの子どもたちと受けなかったADHDの子どもたちを追跡評価した複数の長期研究を検討した結果、刺激剤治療によって、後に薬物乱用障害にかかる可能性が半減するとの結論に達した。

 研究者達は、ADHDの子どもで刺激剤の治療を受けた子ども総計647名と受けなかった子ども総計360名について調査した6件の研究を検討した。研究は概ね、治療が終了して数年(4年から15年)経ち、被験者が20歳以上(15歳から22歳)になったところで追跡調査が行われている。6件のうち4件の研究で、初診時に同じ様な重篤度だと診断されていながら、治療を受けた子どもと受けなかった子どもに分かれた2グループを調査していた。これらの研究では刺激剤治療を受けた参加者の間で薬物乱用障害にかかる割合が低いことを見出している。

 初診時に治療群と非治療群の重篤度が同じではなかった(したがって比較がより困難だった)研究において、刺激剤を投与された参加者では喫煙やコカイン乱用の割合が高かったが、アルコールやマリファナの乱用の割合については刺激剤を服用しなかった群と変わりはなかった。重篤度が同じではなかった別の研究では、刺激剤治療を受けた参加者でアルコールまたはマリファナを乱用する割合が高かった。

 「6件の研究全部を考慮すると、過去に刺激剤投与による治療を受けた若者では薬物乱用障害の割合が半分に減っている」とウィレンスは述べている。

 ハーバード大グループのこの結論は、刺激剤の投与により子ども達が後に薬物乱用に陥りやすくなるのではないかという何人かの開業医が表明した懸念に反論するものである。「これらの所見は、ADHDの刺激剤を用いた薬物療法が薬物乱用障害を引き起こすことはなく、逆に予防効果が期待できるという説得力のある証拠となるものであり、臨床医や家族を安心させるものである」とウィレンスは述べている。


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, January 2005
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