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Vol. 21, No. 10, October 2005
1. CASAによる調査結果:ドラッグがはびこる学校が急増

CASAによる調査結果:ドラッグがはびこる学校が急増

2002年以降、ドラッグの使用、所持、売買が蔓延している高校に通う学生の数は41%増加しており、中学校に関しては、その増加は47%にのぼる。アメリカでは実に、62%の高校生、および28%の中学生がドラッグの使用、所持、売買が行われている学校に通っているのである。

これは、コロンビア大学の全米薬物常習乱用センター(The National Center on Addiction and Substance Abuse (CASA))が毎年新学期に行っている学校調査の最新版「第10回・薬物の乱用に関するアメリカ人の意識調査:10代の若者と保護者」から得た統計値である。この調査は、無作為に選ばれた(12歳から17歳までの)10代の若者1,000人、および保護者829人の電話インタビューに基づいたものであり、2005年4月7日から6月4日にかけて行われた。

CASAのセンター長であり最高責任者であるジョセフA・カリファノ・ジュニア(Joseph A. Califano, Jr.)によると、薬物乱用の防止には、タバコやアルコール、非合法ドラッグの使用に対する法規制が重要な役割を果たしている一方で、10代の若者に薬物使用を思いとどまらせるためには、親の介入が最も効果的な方法だという。その証拠として、ドラッグやアルコール、タバコを拒絶する強い意思を子どもに植え付ける最も強い力となるのは、親の反対、健康への関心、そして、道徳に反することをしているという認識であることが、この調査結果によって判っている。

以下は、CASAの調査結果から明らかになった10代の若者の問題視すべき実態である。

「道徳に著しく反している」という信念を持っている子どもに比べて、「道徳に反していない」と、友達から言われた子どもは、マリファナを使用する確率が19倍高い。

自分がマリファナを吸ったら両親は「ひどく取り乱す」と思うと答えた子どもに比べて、「ちょっと動揺」、あるいは「全然動じない」と思う子どもは、マリファナに手を出す確率が6倍高い。

自分達と同年代の人の健康に「非常に害がある」と思っている子どもに比べて、「それほど害はない」もしくは「全く害はない」と思っている子どもの方が、マリファナに手を出す確率が8倍高い。

他の調査結果でも、以下のことがわかっている。

10代の若者の23%が、マリファナはビールやタバコより買いやすいと答えている。12歳から17歳までの若者の42%が、1日もあればマリファナを買うことができ、21%の若者は1時間、あるいはそれ以下の時間でマリファナを入手することができる。

タバコの喫煙が容認されている学校に通う学生は、薬物乱用に陥る確率が約2倍高い。

12歳から17歳までの若者の43%は、ビデオまたは映画館で1カ月あたり少なくとも3本以上の成人向け映画を見ていた。このような子ども達は、成人向け映画を見ない若者に比べて、タバコを吸う確率は7倍、アルコールを飲む確率は5倍、マリファナを試す確率は6倍高い。

子どもが薬物乱用に陥る可能性を決定づける要素として、年齢や学年、成績、宗教などが挙げられる。CASAによると、最もわかりやすい危険信号は年齢であるという。例えば、子どもが薬物乱用にはしる危険性は調査対象の最年少である12歳から、学年が上がるにつれて大幅に増大している。 また、CASAは、薬物乱用と成績は相関関係にあるという一貫した調査結果も報告している。成績が良いほど、薬物乱用の危険性は低いという。

宗教的な活動と、薬物乱用の平均危険率の低さにも関連がある。少なくとも一週間に一度、礼拝に参加している学生の割合は49%であった。毎週礼拝に出ている10代の若者に比べて、通常、月に一度も礼拝に出ていなかった若者の薬物乱用の平均危険率は、およそ2倍である。(1.41対0.76)。

性別は、薬物乱用の危険因子として重要視されていなかったが、全般的に見て、女子の方が男子よりも薬物乱用の平均危険率が低いことがわかった(0.97対1.04)。しかし、12歳から15歳までの子どもに関しては、女子の方が男子よりも平均危険率がわずかに高い。16歳と17歳の子どもについては、女子よりも男子の方が平均危険率が高い。

一般的な10代の若者に比べて、以下のような子どもは、薬物乱用に陥る危険性が半減するという好ましい結果が出ている。

  • 家族との絆が強く、良い関係を保っている。
  • 食事は、家族と一緒に食べることが多い。
  • 家族間のストレスや緊張が少ない家庭で育っている。
  • 両親が自分を誇りに思っていて、自分も両親を信頼している。

保護者や教育者は、子どものテストの成績の向上に努めるのと同じように、学校からドラッグを排除する努力をすべきである、とカリファノ氏は述べている。私たちは、ドラッグの無い教育環境を子ども達に提供するという義務責任を果たしておらず、その結果、子ども達がドラッグに手を染める機会を与えてしまっている。

CASAの報告書の完全版はwww.casacolumbia.orgで無料ダウンロードできます。


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, October 2005
Reproduced with permission of John Wiley & Sons, Inc.
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